屋外広告物法
最終改正 平成一一年 七月一六日号外法律第八七号〔地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律四〇六条による改正〕
(目的) 第一条 この法律は、美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止するために、屋外広告物の表示の場所及び方法並びに屋外広告物を掲出する物件の設置及び維持について、必要な規制の基準を定めることを目的とする。
(定義) 第二条 この法律において「屋外広告物」とは、常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。
2 この法律において「屋外広告業」とは、屋外広告物(以下「広告物」という。)の表示又は広告物を掲出する物件の設置を行なう営業をいう。
(広告物等の制限) 第三条 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、市(都の特別区を含む。)及び人口五千以上の市街的町村の区域について、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を制限することができる。
2 前項に規定する市街的町村は、当該都道府県の条例で定める。
第四条 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、次に掲げる地域又は場所について、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。
一 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第二章の規定により定められた第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、美観地区、風致地区又は伝統的建造物群保存地区 二 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第二十七条又は第五十六条の十第一項の規定により指定された建造物の周囲で、当該都道府県が定める範囲内にある地域、同法第六十九条第一項若しくは第二項又は第七十条第一項の規定により指定され、又は仮指定された地域及び同法第八十三条の三第二項に規定する条例の規定により市町村が定める地域 三 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項第十一号に掲げる目的を達成するため保安林として指定された森林のある地域 四 道路、鉄道、軌道、索道又はこれらに接続する地域で、美観風致を維持するために必要があるものとして当該都道府県が指定するもの 五 公園、緑地、古墳又は墓地 六 前各号に掲げるもののほか、当該都道府県が特に指定する地域又は場所
2 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、左の各号に掲げる物件に広告物を表示し、若しくは広告物を掲出する物件を設置することを禁止し、又は制限することができる。 一 橋りよう 二 街路樹及び路傍樹 三 銅像及び記念碑 四 前各号に掲げるものの外、当該都道府県が特に指定する物件
第五条 都道府県は、条例で定めるところにより、美観風致を維持するために必要があると認めるときは、広告物及びこれを掲出する物件の形状、面積、色彩、意匠その他表示の方法について禁止又は制限をすることができる。
第六条 都道府県は、条例で定めるところにより、公衆に対する危害を防止するために必要があると認めるときは、広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置を禁止し、又は制限することができる。
(違反に対する措置) 第七条 都道府県知事は、条例で定めるところにより、前四条の規定に基く条例に違反した広告物を表示し、若しくはこれに違反する広告物を掲出する物件を設置し、又はこれらを管理する者に対し、これらの除却その他美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために必要な措置を命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による措置を命じようとする場合において、当該広告物を表示し、若しくは当該広告物を掲出する物件を設置し、又はこれらを管理する者を過失がなくて確知することができないときは、これらの措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。但し、広告物を掲出する物件を除却する場合においては、条例で定めるところにより、相当の期限を定め、これを除却すべき旨及びその期限までに除却しないときは、自ら又はその命じた者若しくは委任した者が除却する旨を公告しなければならない。
3 都道府県知事は、第三条から第五条までの規定に基づく条例に違反した広告物がはり紙であるときは、その違反に係るはり紙をみずから除却し、又はその命じた者若しくは委任した者に除却させることができる。ただし、そのはり紙が、条例で定める適用除外例に明らかに該当しないと認められるにかかわらず、はることを禁止された場所にはられているとき、条例で定める行政庁の許可を受けるべき場合に明らかに該当すると認められるにかかわらず、その許可を受けないではられているとき、その他そのはり紙が第三条から第五条までの規定に基づく条例に明らかに違反してはられていると認められるときに限る。
4 都道府県知事は、前四条の規定に基づく条例に違反した広告物がはり札(ベニヤ板、プラスチツク板その他これらに類するものに紙をはり、容易に取りはずすことができる状態で工作物等に取りつけられているものに限る。以下この項において同じ。)又は立看板(木わくに紙張り若しくは布張りをし、又はベニヤ板、プラスチツク板その他これらに類するものに紙をはり、容易に取りはずすことができる状態で立てられ、又は工作物等に立て掛けられているものに限る。以下この項において同じ。)であるときは、その違反に係るはり札又は立看板をみずから除却し、又はその命じた者若しくは委任した者に除却させることができる。ただし、そのはり札又は立看板が表示されてから相当の期間を経過し、かつ、管理されずに放置されていることが明らかなものであつて、条例で定める適用除外例に明らかに該当しないと認められるにかかわらず、表示することを禁止された場所に表示されているとき、条例で定める行政庁の許可を受けるべき場合に明らかに該当すると認められるにかかわらず、その許可を受けないで表示されているとき、その他そのはり札又は立看板が前四条の規定に基づく条例に明らかに違反して表示されていると認められるときに限る。
(屋外広告業の届出) 第八条 都道府県は、条例で定めるところにより、その区域内において屋外広告業を営もうとする者は都道府県知事に氏名又は名称、営業所の名称及び所在地その他必要な事項を届け出なければならないものとすることができる。
(講習会修了者等の設置) 第九条 都道府県は、条例で定めるところにより、屋外広告業について、営業所ごとに広告物の表示及び広告物を掲出する物件の設置に関し必要な知識を修得させることを目的として都道府県の行なう講習会の課程を修了した者又はこれと同等以上の知識を有するものとして条例で定める者(以下「講習会修了者等」という。)が置かれていなければならないものとすることができる。
2 都道府県知事は、条例で定めるところにより、講習会修了者等の置かれていない営業所について、当該営業所の属する屋外広告業を営む者に対し、期間を定めて、講習会修了者等を置くべきことを命ずることができる。
(屋外広告業を営む者に対する指導、助言及び勧告) 第十条 都道府県知事は、条例で定めるところにより、屋外広告業を営む者に対し、美観風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止するために必要な指導、助言及び勧告を行なうことができる。
第十一条 削除
(特別区の特例) 第十二条 この法律中都道府県知事の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、特別区においては、政令で定めるところにより特別区の長が行なうものとする。この場合においては、この法律中都道府県知事に関する規定は、特別区の長に関する規定として特別区の長に適用があるものとする。
(大都市等の特例) 第十三条 この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下この条において「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下この条において「中核市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市又は中核市(以下この条において「指定都市等」という。)が処理するものとする。この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として指定都市等に適用があるものとする。
(罰則) 第十四条 第三条から第八条まで及び第九条第二項の規定に基く条例には、罰金のみを科する規定を設けることができる。
(適用上の注意) 第十五条 この法律及びこの法律の規定に基づく条例の適用にあたつては、国民の政治活動の自由その他国民の基本的人権を不当に侵害しないように留意しなければならない。
附 則 1 この法律は、公布の日から起算して九十日を経過した日から施行する。 2 広告物取締法(明治四十四年法律第七十号)は、廃止する。 3 この法律施行前にした広告物取締法に違反する行為に対する罰則の適用に関しては、なお、従前の例による。
附 則〔平成一一年七月一六日法律第八七号抄〕
(施行期日) 第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 〔前略〕附則第七条、第十条、第十二条、第五十九条ただし書、第六十条第四項及び第五項、第七十三条、第七十七条、第百五十七条第四項から第六項まで、第百六十条、第百六十三条、第百六十四条並びに第二百二条の規定 公布の日 二〜六 〔略〕
(国等の事務) 第百五十九条 この法律による改正前のそれぞれの法律に規定するもののほか、この法律の施行前において、地方公共団体の機関が法律又はこれに基づく政令により管理し又は執行する国、他の地方公共団体その他公共団体の事務(附則第百六十一条において「国等の事務」という。)は、この法律の施行後は、地方公共団体が法律又はこれに基づく政令により当該地方公共団体の事務として処理するものとする。
(処分、申請等に関する経過措置) 第百六十条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百六十三条において同じ。)の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定によりされた許可等の処分その他の行為(以下この条において「処分等の行為」という。)又はこの法律の施行の際現に改正前のそれぞれの法律の規定によりされている許可等の申請その他の行為(以下この条において「申請等の行為」という。)で、この法律の施行の日においてこれらの行為に係る行政事務を行うべき者が異なることとなるものは、附則第二条から前条までの規定又は改正後のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の経過措置に関する規定に定めるものを除き、この法律の施行の日以後における改正後のそれぞれの法律の適用については、改正後のそれぞれの法律の相当規定によりされた処分等の行為又は申請等の行為とみなす。
2 この法律の施行前に改正前のそれぞれの法律の規定により国又は地方公共団体の機関に対し報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項で、この法律の施行の日前にその手続がされていないものについては、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、これを、改正後のそれぞれの法律の相当規定により国又は地方公共団体の相当の機関に対して報告、届出、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定を適用する。
(不服申立てに関する経過措置) 第百六十一条 施行日前にされた国等の事務に係る処分であって、当該処分をした行政庁(以下この条において「処分庁」という。)に施行日前に行政不服審査法に規定する上級行政庁(以下この条において「上級行政庁」という。)があったものについての同法による不服申立てについては、施行日以後においても、当該処分庁に引き続き上級行政庁があるものとみなして、行政不服審査法の規定を適用する。この場合において、当該処分庁の上級行政庁とみなされる行政庁は、施行日前に当該処分庁の上級行政庁であった行政庁とする。
2 前項の場合において、上級行政庁とみなされる行政庁が地方公共団体の機関であるときは、当該機関が行政不服審査法の規定により処理することとされる事務は、新地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
(手数料に関する経過措置) 第百六十二条 施行日前においてこの法律による改正前のそれぞれの法律(これに基づく命令を含む。)の規定により納付すべきであった手数料については、この法律及びこれに基づく政令に別段の定めがあるもののほか、なお従前の例による。
(罰則に関する経過措置) 第百六十三条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任) 第百六十四条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)は、政令で定める。
2 附則第十八条、第五十一条及び第百八十四条の規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。
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