株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律



第一章 総則
第二章 資本の額が五億円以上又は負債の合計金額が二百億円以上の株式会社に関する特例
第三章 資本の額が一億円以下の株式会社に関する特例
第四章 罰則
附則







   第一章 総則

 (趣旨)
第一条
 この法律は、資本の額が五億円以上又は負債の合計金額が二百億円以上の株式会社及び資本の額が一億円以下の株式会社における監査等に関し商法(明治三十二年法律第四十八号)の特例を定めるものとする。





   第二章 資本の額が五億円以上又は負債の合計金額が二百億円以上の株式会社に関する特例


 (会計監査人の監査)
第二条
 次の各号の一に該当する株式会社(以下この章において「会社」という。)は、商法第二百八十一条第一項の書類(同項第三号に掲げる書類及びその附属明細書については、会計に関する部分に限る。)について、監査役の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。

 一 資本の額が五億円以上であること。
 二 最終の貸借対照表の負債の部に計上した金額の合計額が二百億円以上であること。



 (会計監査人の選任)
第三条
 会計監査人は、株主総会において選任する。


 取締役は、会計監査人の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役会の同意を得なければならない。


 監査役会は、その決議をもつて、取締役に対し、会計監査人の選任を株主総会の会議の目的とすることを請求することができる。会計監査人の選任に関する議案の提出についても、同様とする。


会社の設立の場合(第六項から第八項までに規定する場合を除く。)においては、会計監査人は、発起人が会社の設立に際して発行する株式の総数を引き受けたときは発起人が、その他のときは創立総会において、選任する。


 商法第百七十条第三項の規定は、前項の規定により発起人が会計監査人を選任する場合について準用する。

6 
合併によつて会社を設立する場合においては、合併契約書に合併によつて設立する会社の会計監査人の氏名又は名称を記載しなければならない。


 株式移転によつて会社を設立する場合においては、設立する完全親会社の会計監査人の氏名又は名称について商法第三百六十五条第一項の株主総会の承認を受けなければならない。


 新設分割によつて会社を設立する場合においては、分割計画書に分割によつて設立する会社の会計監査人の氏名又は名称を記載しなければならない。



 (会計監査人の資格)
第四条
 会計監査人は、公認会計士(外国公認会計士を含む。)又は監査法人でなければならない。


 次に掲げる者は、会計監査人となることができない。
 一 
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第二十四条又は第三十四条の十一の規定により、会社の第二条の書類について監査をすることができない者
 二
会社の子会社(商法第二百十一条ノ二に規定する子会社をいう。以下同じ。)若しくはその取締役若しくは監査役から公認会計士若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者又はその配偶者
 三
業務の停止の処分を受け、その停止の期間を経過しない者
 四
 監査法人でその社員のうちに前号に掲げる者があるもの又はその社員の半数以上が第二号に掲げる者であるもの



 (会計監査人の職務を行うべき社員の指名)
第五条
 会計監査人に選任された監査法人は、その職務を行うべき社員を指名し、これを会社に通知しなければならない。この場合においては、前条第二項第二号に掲げる者を指名することができない。



 (会計監査人の任期)
第五条の二
 会計監査人の任期は、就任後一年以内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとする。


 会計監査人は、前項の定時総会において別段の決議がされなかつたときは、その総会において再任されたものとみなす。


 第三条第二項及び第三項前段の規定は、会計監査人を再任しないことを株主総会の会議の目的とする場合について準用する。



 (会計監査人の解任)
第六条
 会計監査人は、何時でも、株主総会の決議をもつて解任することができる。


 前項の規定により解任された会計監査人は、その解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対しこれによつて生じた損害の賠償を請求することができる。


 第三条第二項及び第三項前段の規定は、会計監査人の解任を株主総会の会議の目的とする場合について準用する。



第六条の二
 会計監査人は、次の各号の一に該当するときは、監査役会の決議をもつて解任することができる。

 一
職務上の義務に違反し、又は職務を怠つたとき。
 二 
会計監査人たるにふさわしくない非行があつたとき。
 三 
心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。


 前項の規定により会計監査人を解任したときは、監査役会が選任した監査役は、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される株主総会に報告しなければならない。


 第一項の規定により解任された会計監査人は、前項の株主総会に出席して意見を述べることができる。



 (会計監査人の選任等についての意見陳述)
第六条の三
 会計監査人は、会計監査人の選任、不再任又は解任について、株主総会に出席して意見を述べることができる。



 (会計監査人の欠けた場合等の処置)
第六条の四
 会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役会は、その決議をもつて一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。


 第四条、第五条及び第六条の二の規定は、前項の職務を行うべき者について準用する。



 (会計監査人の権限等)
第七条
 会計監査人は、何時でも、会社の会計の帳簿及び書類の閲覧若しくは謄写をし、又は取締役及び支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。


 会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、会社の業務及び財産の状況を調査することができる。


 会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、子会社に対して会計に関する報告を求め、又は子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。


 商法第二百七十四条ノ三第二項の規定は、前項の場合について準用する。


 会計監査人は、その職務を行うに当たつて第四条第二項第一号から第三号までに該当する公認会計士、会社又はその子会社の取締役、監査役又は使用人である者及び会社又はその子会社から公認会計士又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者を使用してはならない。



 (監査役会に対する会計監査人の報告)
第八条
 会計監査人がその職務を行うに際して取締役の職務遂行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したときは、その会計監査人は、これを監査役会に報告しなければならない。


 監査役は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に対してその監査に関する報告を求めることができる。



 (会計監査人の損害賠償責任)
第九条
 会計監査人がその任務を怠つたことにより会社に損害を生じさせたときは、その会計監査人は、会社に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。



第十条
 会計監査人が重要な事項について第十三条第一項の監査報告書に虚偽の記載をしたことにより第三者に損害を生じさせたときは、その会計監査人は、その第三者に対し連帯して損害賠償の責めに任ずる。ただし、その職務を行うについて注意を怠らなかつたことを証明したときは、この限りでない。



 (会計監査人、取締役及び監査役の連帯責任)
第十一条 会計監査人の会社又は第三者に対して損害賠償の責めに任ずべき場合において、取締役又は監査役もその責めに任ずべきときは、その会計監査人、取締役及び監査役は、連帯債務者とする。



 (計算書類等の提出期限)
第十二条
 取締役は、定時総会の会日の八週間前までに、商法第二百八十一条第一項各号に掲げる書類を監査役会及び会計監査人に提出しなければならない。


 取締役は、前項の書類を提出した日から三週間以内に、その附属明細書を監査役及び会計監査人に提出しなければならない。



 (会計監査人の監査報告書)
第十三条
 会計監査人は、前条第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を監査役会及び取締役に提出しなければならない。


 前項の監査報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

 一 
第七条第三項の規定により子会社に対して会計に関する報告を求め、又は子会社の業務及び財産の状況を調査したときは、その方法及び結果(会計に関する部分に限る。)
 二 
商法第二百八十一条ノ三第二項第一号から第七号まで、第九号及び第十二号に掲げる事項(同項第六号及び第九号に掲げる事項については、会計に関する部分に限る。)


 監査役は、会計監査人に対して、第一項の監査報告書につき説明を求めることができる。


 第一項の監査報告書の記載方法は、法務省令で定める。



 (監査役会の監査報告書)
第十四条
 監査役は、前条第一項の監査報告書の調査その他の監査を終えたときは、監査役会に対し、第三項各号に掲げる事項について報告しなければならない。


 監査役会は、前条第一項の監査報告書を受領した日から一週間以内に、監査報告書を取締役に提出し、かつ、その謄本を会計監査人に送付しなければならない。


 前項の監査報告書には、第一項の規定による監査役の報告に基づき、次に掲げる事項を記載しなければならない。この場合において、各監査役の意見を付記することができる。
 一 
会計監査人の監査の方法又は結果を相当でないと認めたときは、その旨及び理由並びに監査役の監査の方法の概要又は結果
 二 
会計以外の業務の監査の方法の概要
 三 
商法第二百八十一条ノ三第二項第六号及び第八号から第十二号までに掲げる事項(同項第六号、第九号及び第十一号に掲げる事項については、会計に関する部分以外の部分に限る。)


 前条第四項の規定は、第二項の監査報告書について準用する。



 (検査役の選任等)
第十五条
 商法第二百三十八条、第二百八十二条(有限会社法(昭和十三年法律第七十四号)第四十三条ノ二第二項において準用する場合を含む。)及び第二百八十三条第二項の規定は、会計監査人の監査報告書について準用する。



 (定時総会における貸借対照表及び損益計算書の取扱い等)
第十六条
 各会計監査人の監査報告書に第十三条第二項の規定による商法第二百八十一条ノ三第二項第三号に掲げる事項の記載があり、かつ、監査役会の監査報告書にその事項についての会計監査人の監査の結果を相当でないと認めた旨の記載(各監査役の意見の付記を含む。)がないときは、同法第二百八十三条第一項の規定にかかわらず、取締役は、同法第二百八十一条第一項第一号及び第二号に掲げる書類について定時総会の承認を求めることを要しない。この場合においては、取締役は、定時総会にこれらの書類を提出し、その内容について報告しなければならない。


 取締役は、商法第二百八十三条第一項の承認を得、又は前項後段の報告をしたときは、遅滞なく、同法第二百八十一条第一項第一号及び第二号に掲げる書類又はその要旨を公告しなければならない。


 第十三条第四項の規定は、前項の要旨について準用する。



 (定時総会における会計監査人の意見陳述)
第十七条
 第二条の書類が法令又は定款に適合するかどうかについて会計監査人が監査役会又は監査役と意見を異にするときは、会計監査人(会計監査人が監査法人であるときは、その職務を行うべき社員。次項において同じ。)は、定時総会に出席して意見を述べることができる。


 定時総会において会計監査人の出席を求める決議があつたときは、会計監査人は、定時総会に出席して意見を述べなければならない。



 (監査役の員数等)
第十八条
 会社にあつては、監査役は、三人以上で、そのうち一人以上は、その就任の前五年間会社又はその子会社の取締役又は支配人その他の使用人でなかつた者でなければならない。


 会社は、監査役の互選をもつて常勤の監査役を定めなければならない。



 (監査役会の組織等)
第十八条の二
 会社にあつては、監査役の全員で監査役会を組織する。


 監査役会は、この法律に定める権限を有するほか、その決議をもつて、監査の方針、会社の業務及び財産の状況の調査の方法その他の監査役の職務の執行に関する事項を定めることができる。ただし、監査役の権限の行使を妨げることはできない。


 監査役は、監査役会の求めがあるときは、いつでもその職務の執行の状況を監査役会に報告しなければならない。



 (監査役会の決議方法等)
第十八条の三
 監査役会の決議は、監査役の過半数をもつて行う。ただし、第六条の二第一項の決議は、監査役の全員一致をもつて行う。


 商法第二百五十九条第一項本文、第二百五十九条ノ二、第二百五十九条ノ三及び第二百六十条ノ四の規定は、監査役会について準用する。この場合において、同法第二百五十九条第一項本文中「各取締役」とあるのは「各監査役」と、同法第二百五十九条ノ二中「各取締役及各監査役」とあるのは「各監査役」と、同法第二百五十九条ノ三及び第二百六十条ノ四第二項中「取締役及監査役」とあるのは「監査役」と読み替えるものとする。



 (監査役の損害賠償責任)
第十八条の四
 商法第二百六十六条第二項及び第三項の規定は、監査役のした行為につき同法第二百七十七条の規定を適用する場合又は同法第二百八十条第一項の規定により同法第二百六十六条ノ三第一項の規定を準用する場合において、その監査役のした行為が監査役会の決議に基づいてされたときについて準用する。


 商法第二百六十六条ノ三第二項及び第三項の規定は、監査役が第十四条第二項の監査報告書に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をした場合について準用する。



 (商法の特例等)
第十九条
 会社に関する商法第二百三十八条、第二百七十四条ノ二並びに第四百二十条第一項及び第二項の規定の適用については、これらの規定中「監査役」とあるのは、「監査役会」とする。


 会社については、商法第二百八十条第二項、第二百八十一条ノ二、第二百八十一条ノ三及び第二百八十三条第三項の規定は、適用しない。



 (資本の額又は負債の合計金額が増減した場合の経過措置)
第二十条
 会社が第二条各号に該当しなくなつた場合においては、その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、同条から前条までの規定を適用する。



第二十一条
 会社以外の株式会社が第二条第一号に該当することとなつた場合においては、その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、同条から第十九条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。


 会社以外の株式会社が第二条第二号に該当することとなつた場合においては、最終の貸借対照表に係る決算期に関する定時総会の終結の時までは、同条から第十九条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。



 (株主総会の招集通知への参考書類の添付)
第二十一条の二
 議決権を有する株主の数が千人以上の会社にあつては、株主総会の招集の通知には、議決権の行使について参考となるべき事項として法務省令で定めるものを記載した書類を添付しなければならない。



 (書面による議決権の行使)
第二十一条の三
 前条の会社にあつては、株主総会に出席しない株主は、書面によつて議決権を行使することができる。


 前項の会社にあつては、株主総会の招集の通知に株主が議決権を行使するための書面を添付しなければならない。


 書面による議決権の行使は、前項の書面に必要な事項を記載し、これを株主総会の会日の前日までに第一項の会社に提出して行う。


 書面によつて行使した議決権の数は、出席した株主の議決権の数に算入する。


 第二項の書面の様式は、法務省令で定める。


 商法第二百三十九条第五項及び第六項の規定は、第三項の規定により提出された書面について準用する。





   第三章 資本の額が一億円以下の株式会社に関する特例


 (監査役の職務及び権限)
第二十二条
 資本の額が一億円以下の株式会社(第二条第二号に該当するものを除く。以下この章において「会社」という。)の監査役は、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する書類を調査し、株主総会にその意見を報告しなければならない。


 監査役は、何時でも、会計の帳簿及び書類の閲覧若しくは謄写をし、又は取締役及び支配人その他の使用人に対して会計に関する報告を求めることができる。


 監査役は、その職務を行うため必要があるときは、会社の業務及び財産の状況を調査することができる。


 前三項の規定は、会社の清算の場合について準用する。



 (計算書類及び監査報告書の提出期限等)
第二十三条
 取締役は、定時総会の会日の五週間前までに、商法第二百八十一条第一項各号に掲げる書類を監査役に提出しなければならない。


 取締役は、前項の書類を監査役に提出した日から二週間以内に、商法第二百八十一条第一項の附属明細書を監査役に提出しなければならない。


 監査役は、第一項の書類を受領した日から四週間以内に、監査報告書を取締役に提出しなければならない。


 取締役は、定時総会の一週間前から五年間商法第二百八十一条第一項の書類及び監査報告書を本店に備え置かなければならない。



 (会社と取締役との間の訴えについての会社代表)
第二十四条
 会社が取締役に対し、又は取締役が会社に対して訴えを提起する場合には、その訴えについては、取締役会が定める者が会社を代表する。


 株主総会は、前項の規定にかかわらず、会社を代表すべき者を定めることができる。


 前二項の規定は、会社の清算人について準用する。



 (商法の適用除外)
第二十五条
 会社については、商法第二百四十七条第一項、第二百四十九条第一項ただし書、第二百五十二条、第二百五十九条ノ二、第二百五十九条ノ三、第二百六十条ノ三、第二百六十条ノ四第二項、第二百七十四条、第二百七十四条ノ二、第二百七十五条、第二百七十五条ノ二、第二百七十五条ノ四、第二百八十条ノ十五第二項、第二百八十条ノ十六、第二百八十一条ノ二、第二百八十一条ノ三、第二百八十三条第二項、第三百六十三条第二項及び第五項、第三百七十二条第二項、第三百七十四条ノ十二第二項及び第六項、第三百七十四条ノ二十八第三項、第三百八十条第二項及び第三項、第三百八十一条第一項、第四百十五条第二項及び第三項、第四百二十八条第二項、第四百三十条第二項(第二百三十八条、第二百七十六条及び第二百七十八条の規定を準用する部分を除く。)、第四百三十一条第一項、第四百三十二条(第四百三十一条第一項に係る部分に限る。)並びに第四百五十二条第一項の規定中株式会社の監査役に関する規定並びに同法第二百八十二条第一項の規定は、適用しない。



 (資本の額が増減した場合等の経過措置)
第二十六条
 会社の資本の額が一億円を超えることとなつた場合においては、その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、第二十二条から前条までの規定を適用する。


 監査役は、前項に規定する場合においては同項の定時総会の終結の時に、会社が第二条第二号に該当することとなつた場合においては最終の貸借対照表に係る決算期に関する定時総会の終結の時に、退任する。



第二十七条
 会社以外の株式会社の資本の額が一億円以下となつた場合においては、その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、第二十二条から第二十五条までの規定にかかわらず、なお従前の例による。


 資本の額が一億円以下の株式会社で第二条第二号に該当するものが同号に該当しなくなつた場合においては、その後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結の時までは、第二十二条から第二十五条までの規定は、適用しない。





   第四章 罰則

第二十八条
 会計監査人がその職務に関し不正の請託を受け、賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。


 会計監査人が監査法人である場合においては、会計監査人の職務を行う社員がその職務に関し不正の請託を受け、賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。会計監査人が監査法人である場合において、その社員が会計監査人の職務に関し不正の請託を受け、会計監査人に賄賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束したときも、同様とする。


 前二項の場合において、収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。



第二十九条
 前条第一項又は第二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。



第三十条
 商法第四百九十八条第一項に掲げる者又は会計監査人若しくはその職務を行うべき社員が次の各号の一に該当するときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

 一 
会計監査人又は一時会計監査人の職務を行うべき者の選任手続をしなかつたとき。
 二 
第六条の二第二項の規定により株主総会に報告するに当たり、虚偽の陳述をし、又は事実を隠したとき。
 三 
正当の理由がなく、第七条第一項、第十八条の三第二項において準用する商法第二百六十条ノ四第四項、第二十一条の三第六項において準用する同法第二百三十九条第六項又は第二十二条第二項の規定による帳簿、書類又は書面の閲覧又は謄写を拒んだとき。
 四 
第七条第二項若しくは第三項、第十五条において準用する商法第二百三十八条又は第二十二条第三項の規定による調査を妨げたとき。
 五 
この法律の規定による監査報告書又は第二十一条の二の書類に記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をしたとき。
 六 
第十五条において準用する商法第二百八十二条第一項、第十八条の三第二項において準用する同法第二百六十条ノ四第三項、第二十一条の三第六項において準用する同法第二百三十九条第五項又は第二十三条第四項の規定に違反して、書類又は書面を備え置かなかつたとき。
 七 
正当の理由がなく、第十五条において準用する商法第二百八十二条第二項又は第三項(有限会社法第四十三条ノ二第二項において準用する場合を含む。)の規定による書類の閲覧又はその謄本若しくは抄本の交付を拒んだとき。
 八 
第十五条において準用する商法第二百八十三条第二項、第二十一条の二又は第二十一条の三第二項の規定に違反して、株主総会の招集の通知に書類又は書面を添付しなかつたとき。
 九 
第十六条第二項の規定に違反して公告をせず、又は不正の公告をしたとき。
 十 
第十七条第一項又は第二項の規定により定時総会において意見を述べるに当たり、虚偽の陳述をし、又は事実を隠したとき。
 十一 
第十八条第一項の規定に違反して、同項に規定する者に該当する者を監査役に選任しなかつたとき。
 十二 
第十八条第二項に規定する常勤の監査役を定める手続をしなかつたとき。

2 
有限会社法第七十七条第一項又は第二項に規定する者が、第七条第三項の規定による調査を妨げたときも、前項と同様とする。



   附 則

 (施行期日)
1 
この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。
   〔昭和四九年五月政令一五九号により、昭和四九・一〇・一から施行〕
   附 則 〔平成一二年五月三一日法律第九〇号抄〕



 (施行期日)
第一条
 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。



 (罰則の適用に関する経過措置)
第二条
 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。


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