【民】 01 もし、あなたの車が盗まれたら… 【民】 06 『もし〜したら』という約束…
【民】 02 お金を貸してくれと言われたら… 【民】 07 呑み屋の『ツケ』が無くなる…
【民】 03 結婚とは… 【民】 08 三本の矢 (?)
【民】 04 夫婦が終わるとき… 【民】 09 家をAさんとBさんに同時に売ったら…
【民】 05 [法事等で] お前は誰だ? 【民】 10 当サイトのMIDIの著作権 (※削除)

 





















第壱回  もし、貴方の車が盗まれたら・・・ 『物権的請求権』

  もし、貴方の車が盗まれたら、犯人になんていいますか?当然、「オレの車を返してくれ!」って言いますよね。車を直接支配できるという権利(所有権)を持っていることを根拠に、盗んだ人に「返せ!」と、当然ことを主張できる権利を『物権的請求権』と言います。また、自宅の前に乗捨てられた自転車や車があれば、「片づけろ!」と言えますし『物権的妨害排除請求権』、隣接している家の木や物がこちら側に入ってきそうな場合も「なんとかしろ!」と言える『物権的妨害予防請求権』を持っています。








































第弐回  もし、お金を貸してくれと言われたら・・・ 『担保』

  「お金を貸してほしい」と言われた場合、貴方はどうしますか?少なからず、《きちんと返してくれるのだろうか》という不安がよぎると思います(絶対ではないですが・・・)。そこで、どのようにすれば確実に返済してもらえるか。@ 他の人に払ってもらう方法 → 『保証人制度』    A 返済までの間、何かを預かる方法 → 『質権』   B 返済出来ない時、その人の土地などを強制的に売り、その売却代金から返済してもらう約束をとる方法 → 『抵当権』    などがあります。この様な、「返済してもらえない時の保険のようなもの」を   『担保』   と言います。また、特定の物・権利が債務の担保になっていることを 『物的担保』 と言い、ある人が他人の債務の担保になっていることを 『人的担保』 と言います。

     『物的担保』 = 抵当権・質権・留置権 など            『人的担保』 = 保証・連帯保証 など









































第参回  結婚とは・・・『婚姻』

  私たちは「結婚」と言っていますが、法律上では『婚姻』と言います。この婚姻を成立させるためには、お互いに夫・妻として共同生活を送っていく意思が本当にあることが必要です。よって、市区町村からの保護を目的に・何かの条件として・・・などの仮装結婚は届出をしても「無効」になってしまいます。また、法律上結婚できない事情(年齢・重婚・離婚後6ヶ月経過していない女性・等)がある人も無効です。

  婚姻が成立したらどんな効果があるでしょうか。まず、夫婦は同居し、互いに扶助・協力する義務を負います(752条)。つまり、一緒に住んで、家事や子供の世話を協力していきなさいってことですね。また、未成年者が婚姻した場合、成年に達したものとして扱われます。法定代理人の同意を得ない未成年の契約は取り消すことができるが(4条2項)、結婚したら「独立の家庭を営むことは困難」として、成人として扱われます。そのかわり、未成年者が婚姻する時には法定代理人(親権)の同意が必要であり(737条1項)、ここで独立した家庭を持てるかどうか(能力)のチェックがされます。









































第四回  夫婦の関係が終わるとき・・・『離婚』

  前回の婚姻は、当事者の一方の死亡が認めらたときか離婚によって終了します。離婚の方法も『 協議離婚 』・『 裁判離婚 』・『 調停・審判離婚 』があります。『 協議離婚 』は、合意して解消することで、離婚意思があり、子供の親権者を決めて、離婚届を提出すれば成立します。仮装離婚でも提出されてしまうと有効になってしまいます。『 裁判離婚 』は、合意が無くても原因さえあれば訴えを起すことができます。その離婚原因は、

         @ 相手に不貞な行為(浮気)があった

          A 理由なく放っておかれた

          B 婚姻を続けられない重大な理由(性格の不一致・アルコール中毒・性的異常など)がある

などです。結構自分勝手な言分でも成立してしまう、とおもいますが、小さい子供がいなかったり、別居期間が長かったりすると、婚姻生活の破綻という事実を重視して成立します。一方の生活苦を防ぐために、離婚が成立したら財産分与を請求することができます。

− 参考 −     民法     763条 ・ 770条1項









































第伍回  お前は誰なん?・・・『親族』

  いろいろな場面(法事とか結婚式など)で思いませんか?「見たことないあの人は、一体何者?」って。まぁ、何かの繋がりがあってそこに居るのは分かっていても・・・。

    法律上で『親族』とはどこまででしょうか。非常に近い関係の人からとおい人までいろいろいますが、民法では「六親等内の血族・配偶者・三親等内の姻族」とされいます。配偶者 (自分の夫または妻)・血族として、出生により血縁関係になった者(自分の側の親戚)、血族に対して姻族は配偶者の血族(夫または妻の側の親戚)です。そして、祖父母・父母・子・孫・・・と、世代が上下に繋がった関係を「直系」といって、叔父や叔母のように、共通した先祖(祖父母・父母)から別れた関係を「傍系」と言います。で、親等というのは、自分とどれだけ離れてるかを表す単位です。(1世代=1つの親子関係=一親等).なお、配偶者には親等はなく、兄弟(姉妹)はいったん親(共通の父母)に戻るので、二親等になります。







































第六回 「もし〜したら」という約束…『条件・期限』

  「もし宝くじが当たったら車をあげるよ」なんて言われたとします。車をあげるという約束は、物を無料であげる「贈与」という立派な契約です。宝くじに当たるかどうかは当選日までわかりません。だから、この贈与という契約は宝くじが当った時に初めて生じます。この場合、「宝くじが当たったら」を『条件』といいます。この様に条件とは、法律行為の効果が発生するか、消滅するか、不確実な事実にかからせることをさします。条件は無制限に付けられるわけではなく、不法な行為を条件とした時は公序良俗に反するので当然無効です。たとえば、「○○を殺せ」

  条件に似ているものが『期限』です。何が違うのかといえば、条件は将来起こるかどうか不確実なのに対して、期限は将来起こることが確実なものをさします。では、よく耳にする「出世払い」でお金を借りた場合、条件・期限のどちらになるでしょうか。まぁ、どちらも出世すれば返すことになります。ですから、出世しないときを考えてみます。条件だとすれば、出世しない場合には条件が成就しなかったわけですから効果も発生せず、返さなくてもいいことになります。不確定期限だとすれば、貸した方は出世するまで待っていただけですから、出世しないことが確実になった時点で返さなくてはなりません。     (※過去に不確定期限と解釈された例があります)

 

− 参考条文 −     民法     127条1、2項 ・ 135条1項







































第七回  呑み屋のツケが無くなる…『時効』

民法が定める権利や義務の関係は、永久に続くというわけでもありません。時の経過によって権利がなくなってしまったり、逆に権利を得たりします。このことが『時効』という制度です。真の権利義務関係に反するかもしれないのに、何故、このような制度があるか。簡単に説明すると(簡単にしすぎかも)以前から築き上げれてきた法律関係の混乱を防ぐために、永く続いた事実状態を尊重させて、法律関係を安定させよう、ということが時効を認める大きな理由です。

  また、時効には、一定期間が過ぎたら権利が消滅する『消滅時効』と、自分のものとして扱うことができる状態が一定期間続いた場合に権利を取得できる『取得時効』の2種類があります。それぞれ、権利の内容によって時効期間は様々ですが、事項期間が過ぎれば自動的に消滅したり、取得したりするわけではなく、時効の効果を発生させるかどうかは、権利を受ける者の意思に任されています。ですから、時効が発生して飲み代の返済を免れても、「良心に反している、ママに申し訳ない、借りたものは返す」というのであれば、発生後でも返済できます。

  あっ、注意点をいくつか。来月で時効期間の1年が経つ呑み屋への返済がある状態で、「あとで払うよ」と言ったとします。その時点で、返済の意思があるとして時効は発生しません。また、「金○○円、支払なさい」という手紙を内容証明郵便で送られてきたりすると、時効期間がその先6ヶ月間に限って延長されます(153条)。

  −主な 消滅時効

1年  飲食費・宿泊費・娯楽施設の使用料・CDやレンタカーなどのレンタル料・運賃・ギャラ (174条

2年   日常生活品の代金・散髪代・ガスや電気などの料金・習い事の月謝・給料    (173条

3年   損害賠償請求権・慰謝料請求権・医者への治療費・建築工事に関する費用一切    (170条

      ※ その他(5年・10年・20年)は省略します。連絡下されば、詳しく教えます。

 

− 参考条文 −     民法     162条・167条・174条・ 153条








































第八回  三本の矢   (?)…『遺言』

  被相続人の最終意思を明らかにするものが遺言です(法的に「いごん」と言う場合も)。遺言は遺言者が死亡した時に発生しますが、当然その時では確認することはできません。慎重を期すために、遺言を作成するには厳格な要件が決められていて、それが満たされていなければ遺言は無効となってしまいます。遺言を作成する方式として幾つかあります。

遺言者自身が全文・日付・氏名をかいてハンコをおしたもの(自筆証書遺言)

公証人に作ってもらうもの(公正証書遺言)

遺言者自身が作成して、公証人に印を押してもらうもの(秘密証書遺言)

などがあります。しかし、やはりというべきか、それぞれに欠点があります。公正証書遺言の場合、要件は確実に満たされますが、秘密が漏れてしまう可能性があります。自筆証書遺言ならば、秘密は守れますが要件を満たすことができずに無効となってしまうかもしれません。

  各相続人の相続分を被相続人が指定することもできますが(遺留分については制限あり)、これだけは必ず遺言によってしなければいけません。財産をめぐって醜い相続人間で紛争が起こってしまうからです。また、相続人以外の人に財産を与えることもできます。これを『遺贈』といいます。

  もともと遺言とは遺言者の最終意思ですから、死亡する前に自由に撤回することができます。しかし、その時は新しい内容の遺言を作ることになります。







































第九回   家をAさんとBさんに売ったら?・・・『対抗要件』

  不動産にも公示の原則は認められています。これには、どのような効果があるのでしょうか。例えば・・・私が[A]に家を売ったあと、登記を[A]が移していない事をいいことに[B]にも同じ家を売る契約をしたとします。このように一旦売ってしまった物を更に他人に売る事を『二重譲渡』と言います。[A]に家を売ってしまった以上、その家は[A]のものです。しかし登記簿上は私が所有権者のままですから、登記簿を見た[B]はまさか[A]が真の所有権者だとは思いません。だから、実際問題[B]が買ってしまうことがありうるんです。この場合は、[A]は本当の所有権者でも登記をしておかなければ自己の所有権を[B]に対して主張できない事になっています。このように、自己の権利を他人に主張する事を『対抗する』と言い、対抗するために必要な条件を『対抗要件』と言います。だから、家の所有権を他人に対抗するためには登記という対抗要件を備える必要があります。

  それでは、二重譲渡された場合、一体誰のものになるか。それは先に登記を備えた者です。つまり、早い者勝ちですね。契約を後から交わした[B]でも、[A]より先に登記さえしてしまえば、家の所有権は[A]に対抗できます。それが、例え[A]が買ったことを[B]が知っていてもいっこうに構わないことになっています。これは、単に事情を知っているだけでなら取引の世界では自由競争の範囲内にあるとされているからです。

  家を買うときは、まず登記を見てみて(誰でも見られます。隣の家の登記でもみれてしまいます)。買ったらすぐに登記を備えましょう(ウン十万円の手数料が係りますが)。



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