金融機関再建整備法

(昭和二十一年十月十九日法律第三十九号)
最終改正:平成一四年六月一二日法律第六五号




     第一章          総則
     第二章          資産及び負債の調査
     第三章          資産及び負債の評価
     第四章          旧勘定の資産及び負債の移換
     第五章          旧勘定の最終処理
    第五章の二    在外資産負債の処理
      第六章           整備の促進
      第七章           決算の特例
      第八章           監査及び監督
      第九章           雑則
      第十章           罰則
      附則












   第一章 総則


第一条
 この法律は、戦時補償の特別処理等に伴ひ金融機関に生ずべき損失を適正に処理し、国民生活の安定を確保し、金融機関の速かな再建整備を促進し、以て戦後経済の安定及びその健全なる発達を図ることを目的とする。



第二条
 この法律において、金融機関、指定時又は預金等とは、金融機関経理応急措置法 に定める金融機関、指定時又は預金等をいふ。

2  この法律において、新勘定又は旧勘定とは、金融機関経理応急措置法第一条第一項 の規定により設けられた新勘定又は旧勘定をいふ。



第三条
 金融機関の旧勘定の資産及び負債は、金融機関経理応急措置法 及びこの法律の定めるところにより、これを整理する。





   第二章 資産及び負債の調査




第四条
 金融機関の指定時における旧勘定の負債に関する債権者(その承継人を含む。以下同じ。)で勅令で定めるものは、命令の定めるところにより、主務大臣の指定する日までに、その債権を当該金融機関に申し出なければならない。

2  前項の債権者が、同項の期限内に、その債権を申し出ない場合においては、その債権者は、旧勘定の整理から除斥される。

3  第一項の期日において知れてゐる債権者は、これを旧勘定の整理から除斥することができない。



第五条
 金融機関の旧勘定の負債又は指定時における新勘定の負債のうちで、その債権につき異議のあるものその他不確定なものがあるときは、第七条の評価基準の決定されたものを除く外、その確定に至るまでは、金融機関は、命令で定める金額を、仮にその負債の確定金額として、旧勘定の整理を行はなければならない。



第六条
 金融機関は、命令の定めるところにより、指定時における新勘定及び旧勘定について、各勘定別に、財産目録及び貸借対照表並びに資産及び負債の明細書を作成し、主務大臣の指定する日までに、これを主務大臣に提出しなければならない。





   第三章 資産及び負債の評価





第七条
 金融機関の旧勘定の資産及び負債並びに指定時における新勘定の資産及び負債のうち、命令で定めるもの以外のものについては、評価基準が設けられる。

2  前項の評価基準は、暫定評価基準及び確定評価基準の二とし、命令の定めるところにより、主務大臣が、これを決定する。

3  主務大臣は、暫定評価基準又は確定評価基準を決定したときは、これを公告する。



第八条
 金融機関は、主務大臣の指定する時において、その時における旧勘定の資産及び負債並びに指定時における新勘定の資産及び負債について、命令の定めるところにより、暫定評価基準による評価を行はなければならない。この場合において、その資産及び負債のうち確定評価基準の決定したものがあるときは、これについては、確定評価基準による評価を行はなければならない。

2  金融機関は、前項の評価を行つたときは、命令の定めるところにより、同項に掲げる資産及び負債について、各勘定別に、財産目録、貸借対照表及び損益の計算書(損益の計算書は旧勘定の分に限る。)を作成し、主務大臣の指定する日までに、これを主務大臣に提出しなければならない。



第九条
 金融機関は、前条第一項の評価を行つた後、各月末における旧勘定の資産及び負債並びに指定時における新勘定の資産及び負債のうちに、その月末までに決定されてゐる確定評価基準による評価が行はれてゐないものがあるときは、その資産及び負債について、その月末において、確定評価基準による評価を行はなければならない。



第十条
 金融機関は、指定時における新勘定の資産及び負債について、第八条第一項又は前条の評価を行つた結果、評価益が生じたときは、その評価益に相当する金額を新勘定の旧勘定に対する借として整理し、又、評価損が生じたときは、その評価損に相当する金額を新勘定の旧勘定に対する貸として整理する。

2  金融機関は、前項の場合においては、新勘定の旧勘定に対する借として整理すべき金額に相当する額は、これを旧勘定の評価益として整理し、又、新勘定の旧勘定に対する貸として整理すべき金額に相当する額は、これを旧勘定の評価損として整理する。



第十一条
 金融機関は、旧勘定の資産及び負債について、第八条第一項又は第九条の評価を行つた結果、評価益が生じたときは、これを旧勘定の評価益として整理し、又、評価損が生じたときは、これを旧勘定の評価損として整理する。





   第四章 旧勘定の資産及び負債の移換





第十二条
 金融機関は、第五章に規定する場合を除く外、本章の定めるところにより、旧勘定の資産又は整理債務を移し換へることができる。

2  前項の整理債務とは、旧勘定に属する債務(責任準備金及び支払備金に関する債務を含む。)のうち、主務大臣の指定する債務(以下指定債務といふ。)以外のものをいふ。



第十三条
 金融機関は、第八条第一項の評価が行はれる前においても、第一号の金額が第二号の金額を超え、且つ、その超過額の整理債務の金額に対する割合が主務大臣の指定する割合を超えるときは、命令の定めるところにより、書面を以て主務大臣の認可を受け、その超過額の範囲内において、整理債務を旧勘定から新勘定に移すことができる。
一  旧勘定の資産の総額から主務大臣の指定する旧勘定の資産の金額を差し引いた残額
二  資本(出資金、基金及び基金償却積立金を含む。以下同じ。)の金額の一割に相当する金額と、指定債務の金額と、旧勘定の新勘定に対する借があるときはその金額との合計額

2  前項の規定による主務大臣の認可があつたときは、その指定する時において、認可に係る整理債務は、新勘定に属するものとする。

3  第一項の規定により旧勘定から新勘定に移した整理債務の金額に相当する金額は、これを旧勘定の新勘定に対する借として整理する。

4  金融機関は、第一項の規定による主務大臣の認可があつたときは、命令の定めるところにより、遅滞なくその旨を公告しなければならない。



第十四条
 金融機関は、第八条第一項又は第九条の評価を行つた結果、第一号の金額が第二号の金額を超え、且つ、その超過額の整理債務の金額に対する割合が主務大臣の指定する割合を超えるときは、命令の定めるところにより、書面を以て主務大臣の認可を受け、その超過額の範囲内において、整理債務を旧勘定から新勘定に移さなければならない。
一  旧勘定の資産(旧勘定の新勘定に対する貸があるときは、これを除く。)の評価額(確定評価基準があるものについては、確定評価基準により評価した金額を以て、その他のもののうち暫定評価基準があるものについては、暫定評価基準により評価した金額に対し主務大臣の指定する割合を乗じた金額を以て、各々評価額とする。)と、旧勘定の新勘定に対する貸があるときはその金額との合計額
二  前条第一項第二号に掲げる金額

2  前条第二項乃至第四項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第十五条
 第四十条第一項又は第四十一条第一項の規定により新勘定の事業の全部若しくは一部を他の金融機関に譲渡し又は新勘定の保険契約の全部若しくは一部を他の金融機関に移転した金融機関(以下旧金融機関といふ。)は、第八条第一項又は第九条の評価を行つた結果、前条第一項第一号の金額が同項第二号の金額(第四十二条第二項の規定により、又は前に本条第二項の規定により債務を負担したときは、その金額を含む。)を超える場合において、その超過額の整理債務に対する割合が主務大臣の指定する割合を超えるときは、前条の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、書面を以て主務大臣の認可を受け、その超過額の範囲内において、整理債務を、旧金融機関から新勘定の事業の全部若しくは一部の譲渡又は新勘定の保険契約の全部若しくは一部の移転を受けた金融機関(以下新金融機関といふ。)に移すことができる。但し、新金融機関の同意を得なければならない。

2  前項の場合においては、旧金融機関は、命令の定めるところにより、新金融機関に移した整理債務の金額に相当する金額の債務を、新金融機関に対して負担する。

3  銀行法 の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(昭和五十六年法律第六十一号)附則第二条第二項 の規定によりなおその効力を有することとされる銀行法 等特例法(昭和二十年法律第二十一号)(第二十六条第八項及び第四十二条第三項において「旧銀行法 等特例法」という。)第一条 の規定は、命令の定めるところにより、第一項の規定により整理債務を移す場合に、これを準用する。



第十六条
 金融機関は、旧勘定の新勘定に対する借がある場合においては、命令の定めるところにより、その借の金額の範囲内において、旧勘定の資産のうち、第八条第一項又は第九条の規定により確定評価基準により評価したものを、その評価額を以て旧勘定から新勘定に移し、その評価額に相当する金額を、旧勘定の新勘定に対する借の金額から控除しなければならない。

2  前項の規定により、確定評価基準により評価した資産で命令で定めるものを旧勘定から新勘定に移す場合においては、金融機関は、主務大臣の承認を受けなければならない。



第十七条
 第十五条第二項又は第四十二条第二項の規定により、旧金融機関が新金融機関に対し債務を負担した場合において、旧金融機関に、金融機関経理応急措置法第九条第一項 の規定により、旧勘定に属する現金(小切手を含む。)を生じたときは、旧金融機関は、同法第十条 の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、これを新金融機関に対する債務の弁済に充てなければならない。

2  第十五条第二項又は第四十二条第二項の規定により、旧金融機関が新金融機関に対し債務を負担した場合においては、旧金融機関は、前項に規定する場合の外、金融機関経理応急措置法第十六条 本文及び前条の規定にかかはらず、命令の定めるところにより、その債務の金額の範囲内において、旧勘定の資産のうち、第八条第一項又は第九条の規定により確定評価基準により評価したものを、その債務の弁済に充てることができる。但し、新金融機関の同意を得なければならない。

3  前二項の場合においては、新金融機関は、金融機関経理応急措置法第十七条 本文の規定にかかはらず、弁済を受けることができる。





   第五章 旧勘定の最終処理




第十八条
 金融機関は、左の各号の一に該当する場合においては、本章の定めるところにより、旧勘定の最終処理を行はなければならない。
一  第八条第一項の評価を行つた結果、同項の規定により主務大臣の指定する時の現在により、左のイに掲げる金額がロに掲げる金額を超える場合において、その超過額の旧勘定の資産の総額に対する割合が主務大臣の指定する割合を超えるとき
イ 旧勘定の第八条第一項の評価による評価益の額と、その他の益の額と、積立金(基金償却積立金を除く外、特別準備金その他名称の如何を問はず積立金であるものを含む。以下同じ。)の額との合計額
ロ 旧勘定の第八条第一項の評価による評価損の額と、その他の損の額と、繰越損の額との合計額
二  旧勘定の資産及び負債並びに指定時における新勘定の資産及び負債のうち命令で定めるものについて、確定評価基準が決定されたとき



第十九条
 前条第一号に規定する場合において、旧勘定の第八条第一項の評価による評価益の額と、その他の益の額との合計額(以下暫定益の額といふ。)が、前条第一号のロに掲げる金額(以下暫定損の額といふ。)以上であるときは、金融機関は、命令の定めるところにより、書面を以て主務大臣の認可を受け、旧勘定の最終処理を完了しなければならない。この場合において、暫定益の額が暫定損の額を超えるときは、その超過額は、これを旧勘定の特別準備金として整理しなければならない。



第二十条
 第十八条第一号に規定する場合において、暫定益の額が暫定損の額に不足するときは、金融機関は、左の各号に定める順序により、暫定損を填補しなければならない。
一  暫定損の額に対し、暫定益の額の全額を充当して填補する。
二  前号の規定の適用後における暫定損の残額に対し、旧勘定の積立金を、特別準備金(金融機関経理応急措置法 又はこの法律による特別準備金をいふ。以下同じ。)、退職積立金以外の任意積立金、退職積立金及び他の法令(金融機関経理応急措置法 を除く。)による積立金の順序により、順次に取り崩して填補する。

2  前項第二号の場合において、同順位の積立金が二以上あるときは、均等の割合でこれを取り崩して填補する。

3  前二項の規定により暫定損の全額を填補したときは、金融機関は、命令の定めるところにより、書面を以て主務大臣の認可を受け、旧勘定の最終処理を完了しなければならない。



第二十一条
 金融機関は、第十八条第二号の規定に該当する場合においては、同号の規定に該当するに至つた日の属する月の月末における旧勘定の資産及び負債並びに指定時における新勘定の資産及び負債について、命令の定めるところにより、各勘定別に、財産目録、貸借対照表及び損益の計算書(損益の計算書は旧勘定の分に限る。)を作成して、主務大臣の指定する日までに、これを主務大臣に提出しなければならない。



第二十二条
 金融機関は、前条の規定により作成する旧勘定の財産目録、貸借対照表及び損益の計算書には、命令の定めるところにより、主務大臣の承認を受け、旧勘定の最終処理に必要な費用に充てるため、最終処理費引当金を計上するものとする。



第二十三条
 第二十一条に規定する月の月末において、左の各号の一に該当する場合においては、金融機関は、命令の定めるところにより、書面を以て主務大臣の認可を受け、旧勘定の最終処理を完了しなければならない。
一  確定益(旧勘定の第十条第二項及び第十一条の評価益及びその他の益を総称する。以下同じ。)も、確定損(旧勘定の第十条第二項及び第十一条の評価損、繰越損及びその他の損を総称する。以下同じ。)もないとき
二  確定益と確定損とがあつて、確定益の額と確定損の額とが同額であるとき
三  確定益があつて確定損がないとき
四  確定益と確定損とがあつて、確定益の額が確定損の額を超えるとき

2  前項第三号の場合における確定益の額、又は同項第四号の場合における確定益の額の確定損の額を超える額は、これを旧勘定の特別準備金として整理しなければならない。



第二十四条
 第二十一条に規定する月の月末において、旧勘定に確定損があつて確定益がないとき、又は確定損と確定益とがあつて確定損の額が確定益の額を超えるときは、金融機関は、左の各号の順序により、確定損の整理負担額を計算しなければならない。
一  確定益があるときは、確定損に対し、確定益の全額を充当するものとする。
二  確定益がないときは確定損の全額に対し、又、確定益があるときは前号の規定の適用後における確定損の残額に対し、旧勘定の積立金を充当するものとする。
三  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、資本の金額の九割に相当する金額まで、その株主(出資者、基金醵出者その他これに準ずるものを含む。以下同じ。)において確定損を負担するものとする。
四  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、整理債務(第十三条第一項、第十四条第一項又は第十五条第一項の規定により旧勘定から新勘定又は新金融機関に移した分を含み、命令で定める分を除く。以下第二十五条まで同じ。)のうち、法人(法人でない社団又は財団を含む。以下同じ。)の預金等で一口五百万円を超えるものの、五百万円を超える部分の金額の七割に相当する金額まで、その預金等の債権者において確定損を負担するものとする。
五  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、整理債務のうち、法人の預金等で一口百万円を超えるものの、百万円を超え五百万円以下の部分の金額の五割に相当する金額まで、その預金等の債権者において確定損を負担するものとする。
六  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、整理債務のうち、法人の預金等で一口十万円を超えるものの、十万円を超え百万円以下の部分の金額の三割に相当する金額まで、その預金等の債権者において確定損を負担するものとする。
七  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、整理債務のうち、前三号の規定の適用後における法人の預金等の残額と、その他の整理債務の金額との七割に相当する金額まで、整理債務の債権者において確定損を負担するものとする。
八  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、第三号の規定の適用後における資本の残額に相当する金額まで、その株主において確定損を負担するものとする。
九  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、第七号の規定の適用後における整理債務の残額に相当する金額まで、整理債務の債権者において確定損を負担するものとする。
十  前号によるもなほ確定損の残額があるときは、その残額に対し、指定債務(命令で定めるものを除く。)の全額まで、指定債務の債権者において、命令で定める順序により、確定損を負担するものとする。



第二十五条
 前条の規定により算出した確定損の整理負担額の処理のため金融機関は、左の各号の定める措置をなさなければならない。
一  前条第一項第一号の場合においては、確定損の額から確定益の額を差し引く。
二  前条第一項第二号の場合においては、旧勘定の積立金を、特別準備金、退職積立金以外の任意準備金、退職積立金及び他の法令(金融機関経理応急措置法 を除く。)による積立金の順序により、順次に取り崩す。
三  前条第一項第三号乃至第八号の場合においては、資本に未払込金があるときは、払込をなさしめた後、又、資本に未払込金がないときは直ちに、前号の措置をなした上、同条第一項第三号又は第八号の規定により株主が負担すべき金額の合計金額だけ資本を減少する。但し、第二十六条に規定する場合は、この限りでない。

2  第二十条第二項の規定は、前項第二号の場合に、これを準用する。

3  前条第一項第四号乃至第十号の場合においては、整理債務又は指定債務の債権は、当該各号の規定によりこれらの債務の債権者が確定損を負担すべき金額に相当する金額だけ、新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日において消滅する。

4  前項の場合においては、保険会社、生命保険中央会又は損害保険中央会の旧勘定に属する責任準備金又は支払備金に対応する保険金(年金を含む。以下同じ。)の債権は、責任準備金又は支払備金に関する権利の消滅の割合と同一の割合により、新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日において消滅する。



第二十五条の二
 日本銀行及び金融機関は、資本に未払込金があるときは、その全額について、昭和二十三年三月三十一日(損害保険会社及び地方農業会にあつては四月十四日)までの日を払込期日とする未払込株金(未払込出資金を含む。以下同じ。)の払込の催告をしなければならない。

2  日本銀行、恩給金庫及び庶民金庫の株主である国が前項の規定により払込の催告を受けた場合において、その払込期日が当該催告に係る未払込株金の払込に関する予算の成立の日以前であるときは、当該未払込株金は、当該予算の成立の日後遅滞なく払い込めば足りるものとする。

3  金融機関が第一項の規定により未払込株金の払込の催告をなした場合において、払込期日までに払込をしない株主が左の各号の一に該当するときは、その株主の当該未払込株金の払込については、第二十五条の七、商法第二百十三条第二項 及び民事訴訟法第六編 の規定は、これを適用しない。この場合においては、当該株主は、遅滞の責に任じないものとし、各別の通知により第二回の催告を受けることが可能となつたときは、第二回の催告を受けるものとする。
一  閉鎖機関令第一条 に規定する閉鎖機関
二  連合国人
三  本邦人以外の者で本邦以外の地域に住所を有するもの

4  前項の場合において、同項の日までに未払込株金の払込のなかつた株式を譲り受けた者が同項各号に掲げる者及び本邦以外の地域に住所を有する者以外の者であるときは、その株主は、譲受の日から二週間以内に、当該未払込株金の払込をしなければならない。



第二十五条の三
 第二十四条第一項第三号又は第八号の規定により株主において確定損を負担する金融機関で株券(出資証券及び基金証券を含む。以下同じ。)を発行してゐるものは、第二十七条第一項の認可を受けた後、第二十八条第一項の公告とともに、当該金融機関の確定損を負担すべき株主又は当該株主の株式に質権を有する者で株主名簿(出資者名簿その他これに準ずるものを含む。以下同じ。)に記載のある者は、その株券を一定期間内に当該金融機関に提出すべき旨を公告しなければならない。

2  前項の期間は、二週間以上二箇月の範囲内で、これを定めなければならない。

3  第二十五条第一項第三号の規定による資本の減少は、第二十七条第一項の認可を受けた最終処理方法書(以下決定最終処理方法書といふ。)に定めるところにより未払込株金の払込をなさしめる金融機関(以下未払込株金徴収金融機関といふ。)については第二十五条の五第一項の払込期日、その他の金融機関については第一項の期間満了の日(株券を発行してゐないものについては新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日)において、その効力を生ずる。

4  第二十五条第一項第三号の規定により資本の減少を行はなければならない金融機関は、前項の規定により資本の減少がその効力を生ずる日から、本店又は主たる事務所及び支店又は従たる事務所の所在地において百二十日以内に資本減少の登記をなせば足りるものとする。



第二十五条の四
 未払込株金徴収金融機関は、決定最終処理方法書に定めるところにより未払込株金の払込をなさしめる株式について、第二十七条第一項の認可を受けた後遅滞なく、指定時において株主として株主名簿に記載された者(指定時において第五十七条第一項に規定する金融機関以外の金融機関の株主として株主名簿に記載された者について相続又は分割若くは合併のあつた場合においては、その一般承継人、以下指定時株主といふ。)以外の株主(指定時株主でその後株主たらざることとなり当該株式を再び取得した株主を含む。)に対し、前条第一項の期間(株券を発行してゐない金融機関については、第二十八条第一項の公告の日から二週間以上二箇月の範囲内でその定める期間)内に決定最終処理方法書に定める当該株式の未払込株金の払込をなすべき旨を催告し、同時に、その株主及びその株主の株式につき株主名簿に質権者として記載された者に対し、株主がその払込をしないときはその催告は効力を失ひその株主はその株式につき株主の権利を失ふ旨を通知しなければならない。

2  前項の場合において、同項の規定による催告を受けた株主が同項の規定による払込をしないときは、その催告は効力を失ひ、その株主はその株式につき株主の権利を失ひ、その株式は、前項の期間満了の時において、指定時株主(指定時において信託法第三条第二項の規定により株主名簿に信託財産である旨の記載のあつた株式又は金融機関経理応急措置法第八条第一項の規定により公証人の認証を受けた信託会社又は信託業務を兼営する銀行の指定時における信託勘定の新勘定に属する資産の目録に記載のあつた株式については、その際その株式につき信託の委託者であつた者以下同じ。)に帰属する。但し、第五十七条第一項に規定する金融機関の指定時株主がその会員又は組合員の資格を有しない者であるときは、その株式は、当該未払込株金徴収金融機関に帰属する。

3  前項本文の規定により株式が帰属すべき者が存しないときは、その株式は、当該未払込株金徴収金融機関に帰属する。

4  未払込株金徴収金融機関が、第一項の規定による催告をなす場合において、内閣総理大臣の認可を受けたときは、公告をもつて、この催告に代えることができる。ただし、株主がその氏名及び住所を当該金融機関に通知したときは、当該株主に対しては、各別に催告しなければならない。



第二十五条の五
 未払込株金徴収金融機関は、第二十五条の四第一項の期間満了後二週間以内に、決定最終処理方法書に定めるところにより払込期日を定め、株主(前条第一項の規定により払込のあつた株式の株主及び外国に住所を有する指定時株主を除く。)に対し、未払込株金の払込をなすべき旨を催告しなければならない。

2  前項の場合において、前条第二項の規定により株式の帰属した指定時株主(指定時株主でその後株主たらざることとなり当該株式を再び取得した株主を除く。)に対する催告は、指定時においてその株式の株主として株主名簿に記載された者に対し、株主名簿に記載されたその者の住所に宛てて、これをなせば足りる。但し、指定時株主がその氏名及び住所を金融機関に通知したときは、この限りでない。

3  第一項の払込期日は、第二十五条の四第一項の期間満了後二週間を経過した時から二週間以上二箇月の範囲内で、これを定めなければならない。

4  金融機関又は会社経理応急措置法の特別経理会社(会社経理応急措置法第三十九条の規定により、同法の規定を準用される者を含む。以下特別経理会社といふ。)が、左の各号に掲げる株式について、第一項の規定により未払込株金の払込をなすべき旨の催告を受けた場合において、同項の払込催告が当該金融機関(第二号の株式については同号の金融機関以下本条中同じ。)の新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日又は当該特別経理会社(第二号の株式については同号の特別経理会社以下本条中同じ。)の旧勘定及び新勘定の併合(旧勘定のみを設ける特別経理会社については旧勘定の廃止 以下同じ。)の日以前になされたときは、当該株主に対する払込期日は、同項の規定にかかわらず、当該金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日又は当該特別経理会社の旧勘定及び新勘定の併合の日後一箇月を経過した日とする。
一  金融機関又は特別経理会社の所有する株式 但し、信託法第三条第二項の規定により株主名簿に信託財産である旨の記載のある株式又は金融機関経理応急措置法第八条第一項の規定により公証人の認証を受けた信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)の指定時における信託勘定の新勘定に属する資産の目録に記載のある株式(以下信託株式といふ。)を除く。
二  信託株式で、金融機関又は特別経理会社がその信託の委託者であるもの。

5  前項の規定は、金融機関又は特別経理会社が第一項の規定による未払込株金の払込の催告のあつた株式以外の株式について、第二十五条の二第一項の規定による未払込株金の払込の催告を受けた場合に、これを準用する。



第二十五条の六
 削除



第二十五条の七
 第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた株主が払込期日までに払込みをしないときは、未払込株金徴収金融機関は、その株主が未払込株金の払込みをしない株式を、換価のため競売し、又は他の方法により売却することができる。

2  商法第二百十四条第一項第三項 、第二百十五条及び第二百二十条第一項第三項の規定は、前項の場合に、これを準用する。この場合において、同法第二百十四条第三項 、第二百十五条第一項第二項及び第二百二十条第一項第三項中「譲渡人」とあるのは「指定時後の譲渡人(指定時後昭和二十二年十一月二十六日までの間又は昭和二十三年一月十六日以後において株式の譲渡を株主名簿に記載された者並びに第二十五条の四第二項の規定により株主の権利を失つた者で指定時後昭和二十二年十一月二十六日までの間又は昭和二十三年一月十六日以後において株主として株主名簿に記載された者をいふ。)」と読み替えるものとする。

3  前二項の規定は、未払込株金徴収金融機関が損害賠償及び定款を以て定めた違約金の請求をなすことは、これを妨げない。

4  商法第三百九十二条 及び第三百九十三条 並びに非訟事件手続法第百三十五条ノ二十四 及び第百三十五条ノ四十三 乃至第百三十五条ノ四十六 の規定は、未払込株金徴収金融機関が第一項の株主に株金(出資金を含む。以下同じ。)の払込をなさしめる場合に、これを準用する。

5  第一項の規定により競売をなすもその結果を得られなかつたとき又は相当の期間内に同項の規定による売却をなさなかつたときは、未払込株金徴収金融機関は、同項の株主に対しその旨を通知することができる。

6  前項の通知があつたときは、当該株主はその権利を失ふ。この場合においては、第二項において準用する商法第二百十四条第三項 の規定を準用する。

7  第二十五条の五第二項の規定は、第五項の通知に、これを準用する。



第二十五条の八
 第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた株主(信託株式についてはその委託者)が金融機関である場合において、当該金融機関に対し第二十四条第一項第七号又は第九号の規定の適用があるときは、その催告のあつた株式を、株式を発行した者、株式の種類及び払込催告額の異なるものごとに区分し、その区分の異なるごとに、同項第七号又は第九号の規定により確定損の整理負担額を計算し、その計算額を当該区分に属する株式の一株当り払込催告額で除して得た数(一未満の端数があるときは、その端数は切り上げる。)の当該区分に属する株式について、その株主は、当該金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日において第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。この場合においては、同項の規定による催告のあつたその他の株式に係る株金払込請求権は、第二十五条第三項の規定にかかはらず、消滅しない。

2  前項の場合において、当該株主がいづれの株式について株主の権利を失ふかを確定するために必要な事項は、主務大臣がこれを定める。



第二十五条の九
 第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた株主(信託株式についてはその委託者)が特別経理会社である場合において、当該特別経理会社に対し企業再建整備法第十九条 の規定の適用又は準用があるときは、その催告のあつた株式を、株式を発行した者、株式の種類及び払込催告額の異なるものごとに区分し、当該区分に属する株式の数に同法第十八条 の決定整備計画に定める同法第六条第十号 の割合を乗じて得た数(一未満の端数があるときは、その端数は切り上げる。)の当該区分に属する株式について、その株主は、当該特別経理会社の旧勘定及び新勘定の併合の日(同法第三十六条第一項第一号 及び同号 の規定を準用する場合の特別経理会社が旧勘定及び新勘定の併合の日後整備計画の全部の実行を終る日前にその催告を受けた場合においては払込期日)において、第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。

2  前条第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第二十五条の十
 企業再建整備法 の特別経理株式会社(同法第五十二条 の規定により同法 の規定を準用される者を含む。)の発行する株式のうち企業再建整備法第十二条 の規定に基く命令の定めるところにより金融機関が株金払込の義務を免れるとともに株主の権利を失つた株式以外の株式に係る株金払込請求権は、第二十五条第三項の規定にかかはらず消滅しない。



第二十五条の十一
 金融機関(金融機関が信託の委託者である場合における信託株式については受託者)が、当該金融機関(金融機関が信託の委託者である場合における信託株式については委託者たる金融機関 以下本条中同じ。)の新勘定及び旧勘定の区分の消滅後に、第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた場合において、当該金融機関に対し前に第二十四条第一項第七号又は第九号の規定の適用があつたときは、若し当該催告が当該金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅前にあつたならば、第二十五条の八第一項の規定によりその株主が株主の権利を失ふべきであつた株式について、その株主は、その払込期日において、第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。

2  第二十五条の八第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第二十五条の十二
 特別経理会社(特別経理会社が信託の委託者である場合における信託株式についてはその受託者)が、当該特別経理会社(特別経理会社が信託の委託者である場合における信託株式については委託者たる特別経理会社 以下本条中同じ。)の旧勘定及び新勘定の併合の日(企業再建整備法第三十六条第一項第一号 及び同号 の規定を準用する場合の特別経理会社については整備計画の全部の実行を終つた日 以下本条 中同じ。)後に、第二十五条の五第一項の規定により催告を受けた場合において、当該特別経理会社に対し前に同法第十九条 の規定の適用又は準用があつたときは、若し当該催告がその旧勘定及び新勘定の併合の日前にあつたならば第二十五条の九第一項の規定により当該特別経理会社が株主の権利を失ふべきであつた株式について、その株主は、その払込期日において、第二十五条の五第一項の催告に係る株金払込の義務を免れるとともに、株主の権利を失ふ。

2  第二十五条の八第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第二十五条の十三
 第二十五条の七乃至第二十五条の九又は前二条の規定により株主がその権利を失つた株式は、株主がその権利を失つた日において、未払込株金徴収金融機関に帰属する。

2  前項又は第二十五条の四第二項但書若しくは第三項の規定により未払込株金徴収金融機関に帰属した株式については当該金融機関に帰属した日後の相当の時期に、決定最終処理方法書に定めるところにより、競売その他の方法により、これを処分しなければならない。第二十五条の四第二項本文の規定により、未払込株金徴収金融機関に帰属した株式がある場合において、その株式についても、また同様とする。



第二十五条の十四
 削除



第二十五条の十五
 削除



第二十五条の十六
 第二十五条の四第一項又は第二十五条の五第一項の規定により払込の催告を受けた株主は、商法第二百条第二項 の規定(これに準ずる他の法令の規定を含む。)にかかはらず、株金の払込につき相殺をなすことができる。

2  第二十五条の四第一項又は第二十五条の五第一項の規定により払込の催告を受けた株主が未払込株金徴収金融機関に対する債権(当該債権に対する債務が当該金融機関の旧勘定に属するものであるときは、金融機関経理応急措置法第十六条 但書の規定により弁済することのできるものに限る。)で担保権の目的たるもの以外のものを有するときは、その弁済期前において、未払込株金の払込につき、その債権を以て相殺をなすことができる。この場合においては、当該債権及び未払込株金の払込請求権は、相殺の意思表示をなした時において、その対当額につき消滅する。

3  商法第百二十五条第二項 及び第三項 の規定は、前項の場合に、これを準用する。

4  未払込株金の払込請求権その他主務大臣の指定する債権は、第一項及び第二項の規定にかかはらず、これを以て、株金払込につき相殺をなすことができない。

5  未払込株金徴収金融機関は、相殺により消滅した債務(旧勘定に属するものを除く。)の額に相当する金額を、新勘定の旧勘定に対する借として整理しなければならない。



第二十五条の十七
 未払込株金徴収金融機関の株主は、株主の払込に代へ、当該金融機関に、国債、地方債その他主務大臣の指定する有価証券を交付することができる。この場合においては、その交付は、株金の払込と同一の効力を有する。

2  前項の場合における国債、地方債その他の有価証券の評価額は、主務大臣の定めるところによる。



第二十五条の十八
 第二十五条第一項第三号の規定による払込の場合に関しては、商法第二百十三条 乃至第二百二十条 の規定は、これを適用しない。



第二十五条の十九
 金融機関が株主総会(出資者総会及び社員総会その他これに準ずるものを含む。以下同じ。)の招集の通知を発した後株主総会の日までにおいて、第二十五条の四第二項の規定により指定時株主に帰属した株式があるときは、金融機関は、遅滞なく、当該指定時株主に対し、その旨及び株主総会の招集の通知を発しなければならない。

2  前項の通知があつたときは、当該指定時株主に対しては、適法の株主総会招集の通知があつたものとみなす。

3  第二十五条の五第二項の規定は、第一項の通知に、これを準用する。



第二十五条の二十
 第二十五条第一項第三号の規定により資本の減少をしなければならない金融機関(地方農業会を除く。)は、第二十五条の三第三項の規定により資本の減少が効力を生ずる日までに、株式を併合する旨及びその方法を公告し、他の法令中株式の金額の制限に関する規定に適合するようその株式を併合しなければならない。

2  前項の株式の併合は、当該金融機関の資本の減少の日において、その効力を生ずる。



第二十五条の二十一
 前条第一項の規定による株式の併合のあつた場合において、第二十五条の三第一項の規定による旧株券の提出のできなかつた者があるときは、金融機関は、その者(当該株式が第二十五条の四第二項の規定により指定時株主に帰属しているときは、その指定時株主)の請求によつて、利害関係人に対して、異議があれば一定の期間内にこれを述べるべき旨を公告し、その期間経過後において新株券を交付することができる。但し、その期間は、一箇月以上二箇月の範囲内で、これを定めなければならない。

2  前項の公告の費用は、請求者の負担とする。



第二十五条の二十二
 第二十五条の二十第一項の規定による併合に適しない数の株式があるときは、その併合に適しない部分について、新たに発行した株式を換価のため競売その他の方法により処分(処分を目的とする信託による処分を含む。)し、かつ、株数に応じてその代金を従前の株主に交付しなければならない。

2  前条の規定は、前項の場合に、これを準用する。

3  前二項の規定は、無記名式の株券で第二十五条の三第一項の規定による提出のなかつたものに、これを準用する。



第二十五条の二十三
 前条の場合において、併合に適しない数の株式のうち、あらたに発行する株式の金額に満たない部分を生じたときは、併合と同時に、その部分はこれを消却し、その消却した株式の金額に相当する金額の資本を減少しなければならない。



第二十六条
 第二十四条第一項第八号の規定により、株主が資本の全額に相当する金額の確定損を負担しなければならないときは、金融機関は、第二十七条第一項の認可を受けた後、遅滞なく旧勘定の資産と、確定損を負担しない整理債務又は指定債務があるときはその整理債務又は指定債務とを旧勘定から新勘定に移さなければならない。旧勘定の新勘定に対する借は、この措置と同時に消滅する。

2  前項の場合においては、金融機関は、同項の措置をなした後、主務大臣の指定する日までに、事業(新勘定及び旧勘定の区分の存する金融機関については新勘定の事業 以下本条中同じ。)の全部を他の金融機関に譲渡し、又は保険契約(新勘定及び旧勘定の区分の存する金融機関については新勘定の保険契約、以下本条中同じ。)の全部を他の金融機関に移転しなければならない。

3  金融機関は、前項の譲渡又は移転について対価を取得した場合においては(第三十三条第一項の規定による政府の補償があつたときは、先づ、その額まで、これを政府に納付し、なほ残額があるときは)、命令の定めるところにより、これを処分しなければならない。

4  金融機関は、第二項の期限内に事業の全部の譲渡又は保険契約の全部の移転を終つたときはその譲渡又は移転を終つた日において、又、同項の期限内にその譲渡又は移転を終らなかつたときは同項の期限を経過した日において解散する。

5  第三項の規定は、前項の規定による解散の場合に、これを準用する。

6  前項に定めるものを除く外、第四項の規定による解散の場合に関し必要な事項は、他の法令にかかはらず、命令でこれを定める。

7  第二十四条第一項第八号の規定により、旧金融機関の株主が資本の全額に相当する金額の確定損を負担しなければならない場合において、第十五条第二項又は第四十二条第二項の規定により、旧金融機関が新金融機関に対し負担した債務があるときは、旧金融機関は、第一項の措置をなす前に、命令の定めるところにより、先づ、旧勘定の資産をその債務の弁済に充てなければならない。但し、現金(小切手を含む。)以外の資産を債務の弁済に充てるには、新金融機関の同意を得なければならない。

8  旧銀行法 等特例法第一条 の規定は、命令の定めるところにより、第二項の規定による事業の譲渡の場合に、これを準用する。



第二十六条の二
 金融機関経理応急措置法第二十二条第二項 の規定により主務大臣の認可を受けて資本を増加した金融機関については、第十三条第一項第二号、第二十四条第一項第三号及び第八号、第二十五条第一項第三号並びに第二十六条第一項及び第七項の資本には、その増加した資本を含まない。

2  第二十五条第一項第三号但書、前条第二項乃至第六項及び第八項の規定は、前項の金融機関には、これを適用しない。

3  第一項の金融機関が第五十七条第一項に規定する金融機関である場合において、当該金融機関の会員又は組合員が、第二十四条の規定により、その出資の全額に相当する確定損を負担して当該金融機関の会員又は組合員でなくなつたときは、その者は、新勘定及び旧勘定の区分の消滅後六箇月を限り、資金の貸付、施設の利用その他当該金融機関の会員又は組合員の受ける利益を受けることができる。



第二十六条の三
 第二十六条第一項の場合において、金融機関がその新勘定及び旧勘定の区分の消滅後、第三十九条第一項の規定により主務大臣の認可を受けた整備計画書に記載するところに従ひ資本を増加したときは、その資本増加の日において、前に旧勘定に属した株式の株主はその権利を失ひ、その株金総額に相当する金額だけ資本は減少する。

2  前条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第二十七条
 金融機関の取締役又はこれに準ずる者(以下理事機関といふ。)は、第二十四条第一項に規定する場合においては、命令の定めるところにより、最終処理方法書を作成し、主務大臣の認可を受けなければならない。

2  前項の場合において、当該金融機関について、第四十七条の監査委員があるときは、理事機関は、前項の規定による認可の申請前、予め最終処理方法書につき、その承認を受けなければならない。



第二十八条
 金融機関の理事機関は、前条第一項の規定による認可があつたときは、旧勘定の最終処理を行ふべき旨を公告し、最終処理方法書及び第二十一条の書類を本店又は主たる事務所及び支店又は従たる事務所に備へ置かなければならない。

2  金融機関の株主及び旧勘定の負債に関する債権者は、営業時間内、何時でも前項に掲げる書類を閲覧することができる。



第二十九条
 金融機関は、第二十七条第一項の認可を受けたときは、最終処理方法書に定めるところにより、遅滞なく旧勘定の最終処理を行はなければならない。



第三十条
 第二十七条第一項の認可があつた後、旧勘定の最終処理の完了までに、旧勘定の資産若しくは負債又は指定時における新勘定の資産若しくは負債について、旧勘定の最終処理の結果に影響を及ぼすべき変更を生じたときは、金融機関の理事機関は、その変更に基いて、最終処理方法書を改訂しなければならない。

2  第二十七条乃至前条の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第三十一条
 金融機関がこの法律の規定により行ふ資本の減少並びに株式の併合及び消却については、他の法令又は定款にかかはらず、株主総会の決議は、これを必要としない。

2  第一項の資本の減少については、他の法令中資本の金額の制限に関する規定は、資本の減少の日から命令で定める日までの間を限り、これを適用しない。地方農業会について、他の法令中出資の金額の制限に関する規定についても、また同じ。

3  第一項の事項並びに未払込株金の徴収及び払込に関し、この法律の規定に基く主務大臣の認可があつたときは、同一の事項については、同時に、他の法令の規定による認可があつたものとみなす。

4  前三項に定めるものを除く外、第一項の資本の減少に関し必要な事項については、他の法令又は定款にかかはらず、命令で特別の定をなすことができる。



第三十二条
 前条第一項の資本の減少の結果、金融機関の債券の発行又は資金の借入若しくは融通の額が、他の法令に規定する債券の発行又は資金の借入若しくは融通に関する制限額を超えるに至つた場合においては、当該資本の減少の際現に存する債券又は資金の借入若しくは融通(その更改に因る債権又は債務を含む。)に限り、他の法令中これらの債権又は債務の金額の制限に関する規定は、これを適用しない。



第三十三条
 第二十四条第一項の規定により確定損の整理負担額を計算するもなほ確定損の残額があるときは、その残額は、政府において、これを補償する。

2  政府は、前項の補償債務の決済を、国債証券の交付により行ふことができる。

3  前項の規定により決済のため交付する国債証券の交付価格、償還期限及び利率は、次の通りとする。
一  交付価格 額面百円につき百円
二  償還期限 五年
三  利率 年四分五厘

4  政府は、第一項の補償債務の決済のため必要な金額を限り、公債を発行することができる。

5  第二項の規定による決済は、金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅した日の翌日において、これを行ふ。

6  第一項の規定による政府の補償の金額は、大蔵省預金部等損失特別処理法 (昭和二十一年法律第五十六号)による補償金の額と昭和二十年「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く金融機関経理応急措置法 の一部を改正する政令(昭和二十三年政令第六十四号)附則第七条 の規定による補償金の額とを合計し、百六十五億円を限度とする。

7  第二項の規定による国債証券の交付により補償を受けた金融機関は、第二十六条第三項又は第三十七条の二第一項第一号の規定により政府に納付する金額がある場合においては、当該国債証券を以て納付することができる。



第三十四条
 金融機関は、旧勘定の最終処理を完了したときは、遅滞なくその旨を公告しなければならない。

2  金融機関の新勘定及び旧勘定の区分は、前項の公告(二回以上公告をなしたときは最初の公告)の日において消滅する。

3  金融機関は、第一項の公告をなしたときは、その公告(二回以上公告をしたときは最初の公告)の後、本店又は主たる事務所及び支店又は従たる事務所の所在地において百二十日以内に、新勘定及び旧勘定の区分の消滅の登記をしなければならない。

4  前項の登記に関し必要な事項は、命令でこれを定める。



第三十四条の二
 前条第一項の公告は、昭和二十三年三月三十一日までに、これをしなければならない。但し、第五十七条第一項に規定する金融機関が主務大臣の認可を受けたときは、この限りでない。



第三十五条
 第四条第一項の規定により債権の申出をなすべき債権者でその申出をしなかつたものが、同項の期限後新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日までにその債権を申し出たときは、第十九条若しくは第二十三条に規定する場合又は第二十条第一項第二号若しくは第二十五条第一項第二号の規定の適用後なほ旧勘定の積立金が残る場合に限り、旧勘定の積立金の金額の範囲内において、その債権の金額に応じ均等の割合で、その債権の弁済を、金融機関に請求することができる。

2  前項の場合においては、金融機関は、債権者に対し、その債権の弁済の請求ができる金額を通知しなければならない。

3  第四条第一項の規定により申出をなすべき債権で、同項の期限までにその申出のなかつたものは、第一項の規定により弁済の請求ができる金額を除く外、新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日において消滅する。

4  第一項の場合においては、金融機関は、他の法令又は定款にかかはらず、同項の規定により弁済の請求を受くべき金額だけ、積立金を、退職積立金以外の任意積立金、退職積立金及び他の法令による積立金の順序により、順序に取り崩すことができる。

5  第二十条第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第三十六条
 金融機関の旧勘定の負債又は指定時における新勘定の負債に関する債権(責任準備金及び支払備金に関する権利を含む。以下第三十七条まで同じ。)で、旧勘定の最終処理の完了の際不確定であつたものが、旧勘定の最終処理の完了後確定したときは、金融機関の理事機関は、その確定の結果に基いて、第二十四条の規定に準じ、当該債権が確定損を負担すべきであつた金額を計算し、その金額を当該債権者(責任準備金及び支払備金に関する権利者を含む。以下第三十八条まで同じ。)に通知しなければならない。

2  前項の場合においては、当該債権は、同項の規定による通知のあつた時において、その通知に係る金額だけ消滅する。

3  第二十五条第四項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第三十六条の二
 主務大臣は、前に旧勘定に属した資産及び負債で、最終処理の際、暫定評価基準により評価が行はれてゐたものにつき、確定評価基準を決定することができる。

2  第七条第三項及び第九条の規定は、前項の場合にこれを準用する。



第三十七条
 第二十五条第三項若しくは第四項又は第三十六条第二項若しくは第三項の規定によりその整理債務又は指定債務の債権の全部又は一部が消滅した金融機関は、新勘定及び旧勘定の区分の消滅後、調整勘定を設け、左の各号の金額を生じたときは、これを同勘定において経理しなければならない。
一  前に旧勘定に属した資産及び負債について生じた利益金(資産の増価益及び処分益、運用益その他の利益金をいふ。)の金額
二  新勘定及び旧勘定の区分の消滅する際における最終処理引当金の残額
三  新勘定及び旧勘定の区分の消滅する際における旧勘定の負債の総額と資産の総額との差額その他主務大臣の許可を受けて積み立てた留保金の金額
四  前に旧勘定に属した資産及び負債について生じた損失金(資産の減価損及び処分損、運用損その他の損失金をいふ。)の金額

2  前項に規定する処分益又は処分損とは、処分価額と確定評価基準により評価が行はれた時の帳簿価額との差益又は差損をいふ。但し、確定評価基準により評価が行はれてゐない資産及び負債については、処分価額と新勘定及び旧勘定の区分の消滅した時の帳簿価額との差益又は差損をいふ。

3  第一項に規定する増価益又は減価損とは、新勘定及び旧勘定の区分の消滅の際、暫定評価基準により評価が行はれてゐたものにつき、前条の規定により設けられた確定評価基準によつて評価が行はれた場合に生じた差益又は差損をいふ。

4  第一項の規定により設ける調整勘定は、調整勘定以外の勘定と区分経理しなければならない。

5  前四項の適用に関し必要な事項は、主務大臣が、これを定める。



第三十七条の二
 金融機関は、その調整勘定に利益金を生じたときは、随時、第三十七条の六の規定による債権者審査会の同意を得て、且つ、主務大臣の認可を受けて、左の各号の順序により、これを処分するものとする。
一  第三十三条第一項の規定による政府の補償があつたときは、その額(金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅した日の翌日から納付の日までの期間に応じ年四分五厘の割合を乗じて得た金額を加算する。)まで、これを政府に納付する。
二  前号によるもなほ利益金の残額があるときは、左の各号の順序により、確定損を負担して消滅した指定債務の債権者(相続人その他の一般承継人を含む。)に、その確定損の整理負担額の限度において、これを分配する。
イ 財産税、戦時補償特別税及び非戦災者家屋税以外の租税の徴収等により国又は地方公共団体の取得した預金等に関する債務の債権者
ロ 戦時補償特別税に関し他の金融機関からの求償に応じて履行をなすべき債務の債権者
ハ 一万五千円以下の退職金その他の臨時的給与の債務の債権者
三  前号によるもなほ利益金の残額があるときは、第二十四条第一項第九号、第七号、第六号、第五号、第四号の順序により、確定損を負担して消滅した整理債務の債権者(相続人その他の一般承継人を含む。)に、その確定損の整理負担額の限度において、これを分配する。
四  前号によるもなほ利益金の残額があるときは、先づ、約定利率のある整理債務の債権者に、第三号の順序により、金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅した日の翌日から本号の規定による分配の日までの期間に応じ、指定時における約定利率を超えない範囲内でできるだけ高い利率による利息に相当する金額を分配し、なほ残額があるときは、約定利率のない整理債務の債権者に、第三号の順序により、右の期間に応じ、指定時における約定利率のうち最も低い利率を超えない利率による利息に相当する金額を分配する。但し、生命保険会社による保険契約者及び年金契約者に対する利息に相当する金額の分配については、年三分五厘の利率を超えない範囲内でできるだけ高い利率によるものとする。
五  前号によるもなほ利益金の残額があるときは、先づ、約定利率のある指定債務の債権者に、第二号の順序により、金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅した日の翌日から本号の規定による分配の日までの期間に応じ、指定時における約定利率を超えない範囲内でできるだけ高い利率による利息に相当する金額を分配し、なほ残額があるときは、約定利率のない指定債務の債権者に、第二号の順序により、右の期間に応じ、指定時における約定利率のうち最も低い利率を超えない利率による利息に相当する金額を分配する。

2  前項の場合において、同順位の債権者があるときは、その確定損の整理負担額に応じ、均等の割合で分配するものとする。

3  金融機関再建整備法施行規則 (昭和二十一年大蔵、農林、商工省令第一号)第六十四条第二項 の規定により金融機関に無記名式の債券を提出した者は、第一項第三号の規定の適用については、これを当該債券に係る権利につき確定損を負担した債権者とみなす。

4  金融機関再建整備法施行規則第六十四条第二項 の規定により金融機関に無記名式の債券を提出しなければならない者が、同項 の提出期限を経過した後第三十七条の三 の規定による調整勘定の閉鎖の日までに、当該債券を当該金融機関に提出したときは、当該債券を提出した者は、同条 の規定による利益金の残額があるときに限り、その残額の範囲内において、その確定損の整理負担額に応じ均等の割合で、且つ、その確定損の整理負担額の限度において、その残額の分配を受けることができる。

5  第三項の規定は、前項の場合に、これを準用する。



第三十七条の三
 金融機関は、前に旧勘定に属した資産及び負債の整理が完了したとき(これらの資産及び負債のうち、第七条第一項の命令で定めるものを除くすべてについて確定評価基準による評価が行はれたときを含む。)又は前条の規定により調整勘定の利益金を同条第一項第五号に規定する金額の全額まで分配したときは、主務大臣の認可を受け、その認可に当り主務大臣の指定する日において、調整勘定を閉鎖しなければならない。

2  金融機関は、その調整勘定の閉鎖の際、同勘定に利益金の残額があるときは、第二十五条第一項の規定により株主として確定損を負担した者(相続人その他の一般承継人を含む。以下同じ。)に、左の各号の金額を分配しなければならない。
一  負担した確定損に相当する金額
二  金融機関の新勘定及び旧勘定の区分の消滅した日の翌日から本号の規定による分配の日までの期間に応じ、前条第一項第四号に規定する約定利率のない整理債務の債権者に分配する場合に附する利率による利息に相当する金額

3  前項の場合において、調整勘定の利益金の残額がその分配金額に不足するときは、その確定損の整理負担額に応じ、均等の割合で分配しなければならない。

4  金融機関は、第二項の規定により分配してもなおその調整勘定に利益金の残額があるときは、これを当該金融機関の利益準備金として積み立てるものとする。

5  前三項の規定は、第三十八条の三の規定により在外資産負債処理勘定を設けてゐる金融機関には、適用しない。



第三十七条の四
 金融機関は、新勘定及び旧勘定の区分の消滅後、前条の規定により調整勘定を閉鎖する時までの間において、前に旧勘定に属した資産(その資産が債権である場合においてその代物弁済として交付を受けたものを含む。以下第三十七条の五において同じ。)を処分しようとするときは、予め、第三十七条の六の規定による債権者審査会の同意を得、且つ、主務大臣の許可を受けなければならない。但し、貸付金その他の債権を回収する場合(担保の解除又は和解を伴ふことに因り第三十七条第一項第二号乃至第五号の規定による債権者の利益を害する場合を除く。)については、この限りでない。



第三十七条の五
 金融機関は、第三十七条の三の規定により調整勘定を閉鎖するまでの間は、前に旧勘定に属した資産について、これを他の資産と区分し、当該金融機関の確定損を負担した債権者のために、善良な管理者の注意を以て、これを管理又は処分しなければならない。調整勘定に生じた利益金についてもまた同じ。



第三十七条の六
 第三十七条の規定により調整勘定を設けなければならない金融機関は、債権者審査会を置かなければならない。

2  債権者審査会は、七人の審査人を以て、これを組織する。

3  前項の審査人は、金融機関の確定損を負担した整理債務の債権者であつて当該金融機関に対し債務を負担していない者(当該金融機関の役員、職員その他の従業者、国、地方公共団体、持株会社整理委員会及び昭和二十年ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令(昭和二十二年勅令第一号)第三条第二項に規定する覚書該当者を除く。)のうちで確定損負担額の最も多額な者から順次に、当該金融機関の理事機関がこれを選任し、その任期は、一年とする。

4  金融機関の理事機関は、審査人がその就職の後当該金融機関から債務を負担するに至つたとき、又は当該金融機関の役員、職員その他の従業者となつたときは、当該審査人を解任しなければならない。

5  審査人が心身の故障その他の理由に因りその職務をとることができない場合には、金融機関の理事機関は、当該審査人を解任することができる。

6  金融機関の理事機関は、前三項の規定により審査人を選任し又は解任したときは、遅滞なく、その者の氏名又は名称及び住所並びに整理債務の金額を、主務大臣に届出でなければならない。

7  審査人は、その職務の執行のために要した費用についてその実費の支払を受ける外、報酬を受けることができない。

8  債権者審査会の職務の執行は、審査人の過半数を以て、これを決する。



第三十七条の七
 調整勘定に繰り入れる金額又は調整勘定から支出する金額は、法人税法 (昭和四十年法律第三十四号)による各事業年度の所得の金額及び地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)により事業税を課する場合における各事業年度の所得の計算上、これを益金の額又は損金の額に算入しない。

2  第三十七条の二第一項第四号又は第五号の規定により分配される利息に相当する金額は、所得税法 (昭和四十年法律第三十三号)の適用については、同法第二十三条第一項 に規定する利子所得とみなす。

3  第三十七条の三第二項第一号の規定により分配する金額は、法人税法 による各事業年度の所得の金額及び地方税法 による事業税を課する場合における各事業年度の所得の計算上は、これを損金の額とする。

4  第三十七条の三第二項第二号の規定により分配される利息に相当する金額は、所得税法 の適用については、同法第二十四条第一項 に規定する配当所得とみなす。



第三十七条の八
 前七条の規定は、第二十五条第三項若しくは第四項又は第三十六条第二項若しくは第三項の規定によりその債権の全部又は一部が消滅した譲渡金融機関からその事業の全部の譲渡又は保険契約の全部の移転を受けた金融機関に、これを準用する。

2  前項において譲渡金融機関とは、第二十六条第二項、第四十条第一項、第四十一条第一項若しくは第二項の規定により、又は第三十九条第一項の規定による整備計画書の定めるところにより他の金融機関に事業の全部の譲渡又は保険契約の全部の移転をなした金融機関をいふ。



第三十七条の九
 第三十七条の二(前条の規定により準用する場合を含む。以下第三十七条の十及び第六十三条第九号において同じ。)の規定により調整勘定の利益金の分配を受ける権利は、これを譲渡し又は担保に供することができない。



第三十七条の十
 金融機関又は金融機関の役員、職員その他の従業者は、第三十七条の二の規定により調整勘定の利益金の分配を受ける権利を有する者から、その権利を譲り受け又はその権利の譲渡を要求し若しくは約束してはならない。

2  金融機関又は金融機関の役員、職員その他の従業者は、当該金融機関又は他の金融機関の調整勘定に生じた利益金の分配に関して、第三十七条の二の規定により調整勘定の利益金の分配を受ける権利を有する者から、手数料その他の報酬を収受し又はこれを要求し若しくは約束してはならない。

3  金融機関又は金融機関の役員、職員その他の従業者は、何等の名義によつても、前二項の禁止を免れる行為をしてはならない。



第三十八条
 旧勘定の最終処理が完了したときは、債権者及び株主の権利は、最終処理方法書の定めるところによつて確定する。但し、第三十六条の場合においては、当該債権者の権利は、同条の定めるところによつて確定する。

2  旧勘定の整理が法令に違反して債権者又は株主に損害を及ぼしたときは、当該金融機関の理事機関は、当該金融機関と連帯してその損害を賠償しなければならない。但し、当該理事機関で、その業務の執行について過失がなかつた者については、この限りでない。

3  前項の規定は、第二十六条第四項の場合における清算に関する清算人の責任について、これを準用する。

4  第一項(前項において準用する場合を含む。)の損害賠償の請求権は、新勘定及び旧勘定の区分の消滅の日から五年を経過したときは、時効に因つて消滅する。


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